野生フクロウのための天然木再生作業

こんちは、村人Jです。

今日は那須町にある日光国立公園那須平成の森にて実施している野生フクロウの保護研究で天然木再生作業を行いました。

今回の作業は、底が抜けている天然木の洞を穴埋めして塞ぐ。

ただし、

・人工物(板やクギなど)は一切使用しない。

元の木を傷めないようにする。

・生きている樹木は伐採しない。

・周辺の環境になじまない施工はしない。

・危険な作業は行わない。

を条件にして実施しました。

 

想定より作業時間は短かったですが、こんなにも木の穴を埋めるって難しいものなのか(;´Д`)…と悪戦苦闘しました。

 

作業にご協力いただいた、Sくん、Mさん、環境省のSさん。

お忙しい中ありがとうございました。

【今回の作業の見どころ】

ツリークライミングを活用した野生フクロウの保護活動。

 

今回の作業には、NPO法人那須高原自然学校さまにもご協力いただきました。

といいますのも、野生フクロウの巣箱掛けは最後の巣材へのこだわりが重要なのです。

今回の対象となる天然木は、再生するために塞いでしまうと入り口は、数メートル上空の彼方へ…

そう脚立ではできない作業になってしまうのです。

 

そこで白羽の矢を立てたのがツリークライミング。

インストラクターであるSくんはスルスルと登り、最後の仕上げを完璧にこなしてくださいました(o´∀`o)

野外のアクティビティを環境活動に活かす面白い取組みになったかなぁと思います。

これまでNPO法人グラウンドワーク西鬼怒の「フクロウ営巣ネットワークプロジェクト」では野生フクロウの営巣環境の創出ということで、巣箱掛けにより繁殖活動の手助けを行ってきています。

野生フクロウの営巣環境は、戦後の化石燃料不足による里山林大量伐採と植林ブームによる針葉樹林の増加により、100年未満の短い期間で大きな環境変化を受けてしまっています。

フクロウ(Strix uralensis hondoensis)は古木の樹洞を利用して繁殖を行うことが多い生き物です。

しかしながら、適した樹洞がない現状では地面に卵を産み育雛することを選ぶことになります。

 

地面での繁殖を主とするシロフクロウなどの種では、雌の羽毛が地面と同じ保護色になるなどの進化があり害敵に襲われにくくすることで繁殖を行うものもいます。

森を調査すると洞がある木は意外と存在します。

しかし、野生フクロウにはほとんどが利用されていません。

底が完全に抜けてしまっているもの、隙間があり光が入り込んでしまうもの、営巣できるほどの大きさでは無いものなど様々です。

私のライフワークとして実施している「自動撮影機による野生フクロウの営巣状況観察」において推測できること。

選択の条件は、こちらが思っている以上に細かい…

フクロウは「巣作り」と言える行動はほとんど行いません。

枝を運び、組み上げるなんてことはしないのです。

そんな物ぐさな動物なのに、座り心地や周辺の環境にはとてもこだわりを見せる様子も多々観察できています。

ちょっぴりメンドクサイやつ…

多くの巣箱掛けや野生フクロウの行動を観察してきて1つのチャレンジをしてみたいと思いました。

それが、天然木の再生による営巣環境の創出です。

 

天然の樹洞があるのに使用されないケースが結構あります。

それは野生フクロウの営巣したい樹洞ではないから…

では、巣箱掛けで培った技術や繁殖行動を観察してきた経験などを利用し、底の抜けてしまった天然木を再生させたら野生フクロウは営巣するのだろうか?ということがきっかけ。

 

NPO法人グラウンドワーク西鬼怒が那須平成の森基金助成金事業に当選し、昨年より挑戦させていただいています。

協力者にも恵まれていて、宇都宮大学さまも一緒に活動いただいています。